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なぎさホテル

9月6日

  茅ヶ崎、江の島、腰越、稲村ケ崎、由比ヶ浜、逗子、葉山と
 つながる海岸線。
 関東に住む人間にとって、特別な感情を持つものです。
  パンツ一枚で日暮れまで水遊びしていた海。
 防波堤でフグを100尾釣った海。
 車の中からおんなのこと見つめた夜の漁火。
 このさき何処に進もうか、漠として先を占った海。
 ヨットハーバーで加山雄三になった自分。
 あまりに好い天気なんでビールを飲み、昼寝した海。
 60を過ぎても、月に一度は深呼吸しにいく海。
 etc、etc・・・

 007_20110907120416.jpg

  伊集院 静の「なぎさホテル」を読んだ。
 妻子と別れ、借金を背負い、行くあてなくたどりついた湘南の海。
 ふとした偶然で逗子の浜辺にあるホテルに出会い、老支配人の
 「お泊りにになったらいかがですか」、「お金?部屋代なんてある時で結構ですよ。
あなた一人ぐらいなんとかなります。」
 の言葉に、このホテルの7年間の生活が始まる。
  昔、船乗りだった支配人、フロント、清掃係、ホテルにたずさわる人々が
 あたたかく彼を支える。
 ホテルマンとしての彼らがホテルとは何かがわかっていた時代。
 日々の勘定の前に、たとへ自分の責任になってもホテルのなすべきことを
 つらぬく度量。
 近頃めっきり少なくなったものが脈々と流れます。
  多分、筆者は夕暮れの逗子の潮騒と、このホテルたるホテルに穏やかな、
 癒され、励まされた時間を過ごしたことでしょう。


 「なぎさホテル」  伊集院 静   小学館

 
 

 
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注文の多い料理店

8月18日

 わたしたちは氷砂糖をほしいくらいもたないでも、
 きれいにすきとおった風をたべ、
 桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
       (中 略)
 これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや
 鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。

     (宮沢賢治「注文のおおい料理店」の序から引用)

 こんな出だしにあえる本なんてそうはないでしょう。
 ということで早速購入、またまた「ライオン」へ・・・

 「どんぐりと山猫」「注文のおおい料理店」はじめ九つの
  童話がおさめられています。
 どの話も森のなかで木々や、お日様や、風や、雪や、
 山猫や、どんぐりや、月や、鹿が、そして私も一緒になって
 いろんな話をしています。
 あんまりにも人が奥深く森のなかに入ってきて勝手をするから
 山猫がおこります。 「注文のおおい料理店」。
 森を耕してもいいかいと人が聞くと山々が相談して、いいよ、
 といいます。人は一生懸命耕して、ありがとうと山にお礼を
 持っていきます。 「狼森、笊森、盗森」。
 人の残した手拭いで遊び、贈り物の栃の実を喜んで鹿達が
 踊ります。 「鹿踊りのはじまり」。

 今夏、黒姫高原に遊びましたが、山の麓に牡鹿池という
 池があります。
 とてもきれいな池ですがペンションの人がいうには
 よく熊が出るそうな。
 今度、行ったら熊に聞いてみようか。
 「熊さん熊さん、どうしてこんな麓までおりてきて
 人をおどかすんだい?」
 熊さんは言います。
 「人さん人さん、なんでこんなに森を刈っちまうんだい?
 僕の食べるどんぐりがめっきり減ってしかたなく山を
 おりるのさ。
 なんとかしてくんろ。」

 暑い東京ですが、この森のなかは涼やかです。


  「注文のおおい料理店」  宮沢 賢治   新潮文庫

 
 *訂正:文中、山猫がおこるのは「注文のおおい料理店」でした。
     「どんぐりと山猫」と書いてしまい,山猫におこられました。
     おわびして訂正します。

 

吾輩は猫である

8月2日

 澁谷の名曲喫茶「ライオン」・・
 1926年創業というこの喫茶店。
 大きなウッドのスピーカーも内外の設えも来始めた
 当時のまま。2階にあがり、一番奥のソファーに
 ゆったりと身を沈めます。
 3時と7時の定期コンサートのプログラムがコーヒー
 とともに運ばれてきて、この日はバッハのゴードべルグ変奏曲とやら・・
 クラシックの細かいことは知りません。
 ただいいなと思って聞くだけ。

 さてと・・
 ここで開く本はかの夏目漱石「吾輩はねこである」。
 明治38年(1905年)、漱石40才の処女作。
 正岡子規と親交の厚かった漱石が彼の主催する「ホトトギス」に
 第1回を掲載、好評を博し、11回の連載となったもの・・

 なんと伸びやかなんでしょう。
  台所でネズミを追う猫・・ 漱石自身が遊んでる。
 ハイカラ、進取を代表するような迷亭さん。
 保守的、儒学的?哲学人の独仙さん。
 苦沙弥先生の嫌いな実業人、金田さんとその一家。
 その他先生をとりまく幾多の人々。
 猫の目を通して生き生きと明治を語る。
 今から110年以上も前、こんな自由で躍動感のある
 日本があったんだなーととても面白く、ちょっと羨ましく・・

 この本の発刊の年は丁度、日露戦争で日本が旅順を陥落、
 ロシアに勝利した年でもあった。
 司馬遼太郎の「坂の上の雲」とはまたちがった、
 人々の生活にねざした明治の息吹を感じる。
 漱石のちょとくどすぎる表現にちょとかったるさもおぼえ、
 また、小説としての一貫性という意味では連載ものという
 こともあってそれぞれが物語として独立している感もあるが
 そんなことはおいて、とにかく楽しかった。

 110年前の小説を80年前からある喫茶店で300年前の
 音楽を聴きながら・・

「吾輩は猫である」 夏目 漱石   新潮文庫

名曲喫茶「ライオン」  
 

一茶

7月21日

 1日から2週間、黒姫高原へ・・
 前の愛犬ベスの散骨(少しだけれど・・)とニュウフェイス、ランディーの散歩。
 ペンションの人もこんなに長く逗留することに驚いていましたが素泊まりベースで
 無理をいっておねがいしました。
 もう黒姫に来るのも20年余になります。
 童話館からみる黒姫山も、妙高山も、それに連なる山々も素晴らしく、
 時にはうす雲をかぶり、ときには入道雲を背負い、様々な顔を見せてくれますが
 本当にさわやかです。
 北国の7月は紫陽花がみずみずしく咲いています。

 さてながい夏休みを終えて自宅近くの本屋さん。
 藤沢周平の「一茶」を見つけました。
 柏原、熊倉、二之蔵の黒姫の村々。
 鳥居川。
 近郊の牟礼、古間。
 今も変わらない地名がうれしい。また景色もほとんど変わっていないのだろう。
 15歳、継母との折り合いが合わず江戸に奉公に・・
 うまくいかず栄達の道を俳諧にもとめた一茶。
 だがその道はかなわず故郷へ・・
 栄達への欲望、嫉妬、物欲、性欲
 かくすことなく素直に生きた一茶・・
 あまたの句を残しその評価はさまざまだが
 その句に気取りはない。
 句は綺麗なものより自然なものがいい。
 黒姫の山々だ。


「一茶」 藤沢 周平  文春文庫

 ペンション BOW   http://park11.wakwak.com/~bow/

King’s speech

4月13日
 ブログをいつも拝見しているsunshineさんのお奨めの
 映画 King’s speechを観てきました。
 ひさしぶりにいい映画に出会えてよかった。
 sunshineさん、ありがとうございます。
 英国王ジョージ6世が自らの喋り下手を克服、
 第2次世界大戦の開戦宣言をする・・
 国王にしかできない仕事を立派にやり遂げる
 感動の物語でした。
 1940年代、戦争、ヒトラー・・
 そんななかのロンドンの風景。
 家でも飼っていた2匹のウェリッシュコーギー。
 幼きエリザベス女王。
 英国王室の・・・。
 ちょっとちがうかも、ウィンストンチャーチル。
 それぞれもとても素晴らしかった。
 そう言えば、昨年9月にロンドンに行ったおり、
 議事堂見学をしたんですが、なかに4人の首相の
 銅像があるんですが、チャーチルとともに唯一、女性、
 マーガレットサッチャーがいて彼女の業績に対する
 英国民の思いを感じました。
 今の日本、マギーが待たれます。 
プロフィール

旅人60

Author:旅人60
初めてのブログ体験・・・
あせらずにやってみようと思います。
旅のつれずれ、読んだ本、行った酒場
感じたことを書いていければ。
小生、時間にだけは少々余裕のできた
60才です。

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